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数字の裏を読む

数字は常に真実を表しているとは限りません。とくに統計指標は、全体像を把握するために合理的な方法で要約した数値を並べています。そのため、平均値だけではデータのばらつきや外れ値を見抜けません。場合によっては外れ値に影響され、平均が実態から乖離することもあります。標準偏差を使えばばらつきを確認できますが、具体的な数値をイメージするのは難しいでしょう。投資においても指標を利用しますが、指標はあくまでスクリーニングや企業を大まかに把握するための目安の1つです。数字の裏にある実態を読み取る姿勢が重要です。

そう感じたきっかけがこのポストです。一見、指標を使って投資対象を絞り込んでおり分かりやすいですが、投資すべき企業かどうかを数値だけで見抜くのは困難です。株主に向けて数値を「飾る」ことも可能ですし、企業は数値だけで動いているわけでもありません。指標が良いという理由だけで投資するのは早計でしょう。

加えて、指標の条件をすべて厳格に適用すると、銀行株への投資ができなくなります。銀行株はPERが低く割安な傾向がある一方で、自己資本比率は低くなりがちです。たとえば、三菱UFJフィナンシャルグループの自己資本比率は5%と非常に低いです。しかし、同行を倒産寸前の欠陥企業だと評すれば、多くの人が疑問を抱くはずです。もし本当に倒産寸前であれば、連日ニュースで報じられ、預金の引き出しが殺到して火の車になっているでしょう。現実は決してそうなっていません。

また、割安株には理由があって安くなっているケースもあります。安定していても成長余地が乏しかったり、価値が正しく理解されていなかったりして放置されている場合などです。もともと安いため、安定企業であればさらなる下落は起きにくいですし、配当利回りのメリットもあります。しかし、実態のない企業であれば、バリュートラップにハマるリスクがあります。値上がりも安定した配当も得られず、いつまでもリターンが生まれない罠です。

すべての数値を完璧にクリアできる企業はまずありません。業種ごとの傾向を把握して指標を比較すること、そして指標の裏にある企業の活動を読み解いて投資判断を下すべきだというのが私の結論です。数値は情報の要約に過ぎません。言葉では抜け落ちてしまう情報を拾い上げ、他社と比較することで、ようやく妥当性が理解できるのだと考えています。

投資は基本的に自己判断です。「有名な誰かが言っていたから必ず儲かる」というものではなく、むしろ他人に流されると失敗するケースが多いでしょう。他者の考えや企業情報は積極的に取り入れつつも、自分軸を持ち、納得した上で自己責任で行う姿勢を今後も大切にします。

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