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2026年5月の政府・日銀による市場介入

約8分

💡 Summary

財務省が発表した総額11兆7349億円の市場介入について、税金ではなく外為特会が原資である点やアベノミクス以降の含み益の背景を整理しました。ジョージ・ソロス氏によるポンド空売りとイングランド銀行の戦いを引き合いに市場の巨大な力を考察し、12兆円弱の巨大介入後も1ヶ月で159円台まで円安に戻った現実を指摘。無制限な介入が不可能な中、インフレ抑制と円安是正、政府・日銀のパワーバランスを考慮し、6月の日銀会合では慎重ながらも利上げに踏み切る路線が濃厚であると分析します。

政府・日銀による過去最大規模の市場介入と今後の金利政策

総額11.7兆円規模の円買い介入は一時的な効果に留まり、根本的な金利差や地政学リスクにより円安傾向は継続しています。介入原資の限界やインフレ抑制の観点から、6月の日銀金融政策決定会合では緩やかな利上げに踏み切ると予想します。

昨日にNHKから下記の速報がありました。

速報と言っても財務省が公式に発表したということで、介入自体は大型連休中に話題になっていたので目新しいものではないと思います。12兆円ほどを外為特会を通じて円買いドル売りの介入を行い160.72円/ドルから155.02円/ドルまで円高が進みました。税金と勘違いされているXユーザーや記者の方もいるようですが、税金ではなくて外為特会が原資です。もともとドル円は80円ほどまで円高の時代があり、アベノミクスと黒田バズーカを通じて円安株高が一気に進みました。なので、円換算では大きな利益は出ていると言えますが、外為特会も無限ではないですし、市場に介入するのにもルールがあるので介入を無限にできるわけではありません。

アメリカとの金利差や人口と労働生産性の構造、国の財政など市場からの信認など要因があり、日本円の価値を日本だけで制御できる状態ではないと思います。内需が強く国内だけで日本円が回るのであればそれはそれで良いのでしょう。実際のところは日本は輸出だけではなく輸入に頼る国でもあるので円のレートを適切に管理できずに国民生活に想定外の負担が生じるような状況は避けられた方が望ましく、市場や世界からどのように円や日本国を見られているかというのは目を背けられないことだと思います。

過去には、ジョージ・ソロス氏が英国のポンドに空売りを仕掛けて、英国の中央銀行であるイングランド銀行がポンドの価値を守るためにポンドを買い支えて利上げをするなど抵抗をした出来事があります。結果として国の中央銀行が資金が尽きてしまい、1人の投資家を相手に白旗を上げる状態となりポンドの価値は急落しました。欧州の為替相場メカニズム(ERM)という固定相場制に近い枠組みで防衛を強いられた当時の英国と、現在の変動相場制の日本とでは仕組み自体は異なりますが、市場の力に抗えないという本質は同じだと思います。日本はまだ外為特会に大きな資金があるのでこのような状態になることはまだないと思いますが、市場の力はとても大きいです。時には1人の投資家が「イングランド銀行を潰した男」と呼ばれるようになるなど大きな影響力を発揮することも起こり得ますし、日本は輸出入で海外と繋がっていて円安は輸出企業の利益拡大だけではなく暮らしにおけるコスト増につながります。なので、円安・円高そのものが悪いというよりも国の状況に合わせてレートをコントロールできることが本来であれば望ましいと思います。

12兆円弱を投じて市場介入をしましたが1ヶ月で159.26円/ドルまで円安が進みました。依然として円安の圧力が強くずっと円安を主張している身としてはドル円の動きに違和感がありません。介入自体は無制限にできませんし資金にも限度がありますが、イランの戦争などで原油コストが上がり地政学リスクが高まる中で市場介入を通じて利上げの判断を少し先延ばしすることはできたと思います。12兆円弱の介入は1991年以降で最大の規模でしたがトレンドを変えることはできず1ヶ月で大部分が円安に戻ったので160円付近をトリガーに介入し続けるという選択肢は厳しそうです。なので、利上げの圧力として働くと思いますが利上げが弱すぎても逆に円安が進む可能性がありますし、利上げをしすぎても経済を失速させてしまう恐れもあります。利上げを4月に続いて見送るとなると政策の遅れからさらに円安も進むので、まだマシな選択肢として利上げが選ばれると予想しています。行き過ぎた円安は避けたいという点では、植田総裁と政府の認識は一致すると考えているので、6月はどの程度かわからないですが利上げされると考えています。スタグフレーションや政権への配慮から利上げが見送られるという意見もあると思いますが、利上げしなかった場合には円安を通じてさらなる物価上昇が起こりますし、政府側も行きすぎた円安を望んでいない(だからこそ11.7兆円もの介入を実行した)背景を踏まえれば、やはり利上げ路線の方が有利(現実的)なように思います。

ただ、植田氏は慎重に舵取りをするのであまり大胆なことはせず中立金利を掲げて気持ち利上げして円安が進むパターンでコメントも濁す形になると想像しています。ニュースで見聞きしている内容とパワーバランスを考慮したもので、実際の関係性や詳細な情報まではわかっていませんが答え合わせは来月にできると思います。アメリカ・イランの件もまだどうなるかもわからないですし悩ましいところもありますが、状況を注視しつつも経済について少しずつ学んでいけたらと思います。

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