円高待ち
2026年6月6日
💡 Summary
本記事は、米雇用統計後の円安進行と日米金利差の継続に伴う日本経済の構造的ジレンマを整理し、個人の資産防衛策を提示しています。メガバンクの利上げ提言と借入負担増の綱引き、為替介入の形骸化といった不確実性に対し、著者は主観的な円高リスクを想定。投信積立を減額して現金比率を上げ、ドル建てMMFやUSDC/USDTといった安定資産で年利約3%を確保しながら、将来の市場調整期(オルカン下落等)に向けた『防御の体勢』を維持する方針を解説します。
米雇用統計と日米金利差による円安の継続
米国の好調な雇用統計を受けてドル円相場は160円台まで円安が進行しており、日米金利差の縮小が困難であることから今後も円安圧力が働きやすい状況が続くと予想されます。
本日のドル円は160.29円/ドルです。アメリカで雇用統計があり数値としては好調だったようです。実際に裏側では、複数ジョブを持つような働き方が増えている一方でフルタイムの仕事が見つかりにくいといった構造変化も囁かれており、ホワイトカラー業務におけるAIの影響を指摘する声もあります。ただ、現時点で雇用統計の数値とAIの因果関係がどこまで明確なのかは議論が分かれるところでしょう。統計を受けて円安が進み、日経平均先物が-5.83%、ACWI(オルカン)も-2.98%と大きめの下落が1日でありました。そして、あともう少しで日銀側でも利上げの判断がありますが、今日の雇用統計で米国側での利上げの追い風(高金利維持)となったとの見方があり、日銀ががんばって2026年6月中旬の金融政策決定会合で利上げを決定したとしても金利差が十分には縮まらず、円安の圧力が働きやすい状態に変わりはないでしょう。
利上げに関するメガバンクの提言と日本経済のジレンマ
メガバンクは物価高や為替対策として積極的な利上げを提言していますが、利上げに伴う国民や企業の利息負担増と、財政規律維持の間で政府・日銀は厳しい政策判断を迫られています。
みずほを筆頭に日本のメガバンク3行は、日銀が想定する0.25%程度の利上げ幅では不十分であり、さらに踏み込んだ利上げを行うべきだと提言しています。利上げを行えば銀行の利益にはなりますが、介入ではどうにもならないような円安が進みつつあるため、為替と輸入品の物価上昇を抑える観点からは利上げが必要でしょう。一方で利上げをすると住宅ローンや中小企業の返済などの利息負担増により、人々の生活にも直接的な影響が出るため、メガバンクの提言のように大胆に利上げを実行するのは政府や国民から難色を示されるはずです。どっちに転んでも厳しい状況であることに変わりはなく、どの厳しさを選択するかの綱引き状態と言えます。私の考えとしてはメガバンクや日銀サイドで円の信用や財政規律を守る方がマシだと思っていますが、生活の苦しさから若年層における高市内閣の支持率が下がっていることを考慮すると、日銀サイドの政策は受け入れづらいかもしれません。高市氏もなんとか生活を支えようと財政出動を模索しているようですが、それも円の信用を担保にして繋いでいる状態で、これまで国が多額の補助金や支援を行っても経済が根本から活発化する兆しは見えません。日銀どころか政府の経済運営にすら懐疑的な見方が出ている現状において、経済が元気になって日本の生活が豊かになるという青写真で円安を抑える介入をするのも、戦略として筋が良いとは言えないはずです。
妥協の経済政策と将来世代への負担先送り
利害対立や民主主義的な意思決定の限界から抜本的解決が困難であり、問題を有耶無耶にしながら将来世代へ負担を先送りする方向に向かう懸念が強まっています。
結局のところ日銀も政府も国民もどうすれば良いか迷走し、それぞれの役割と利害のもとで、中庸ではなく妥協点を探っている状況です。日本は民主主義国家であり、平等と多数決のプロセスが重視される以上、痛みを伴う抜本的改革よりも、合意形成の難しさから問題を有耶無耶にしたまま負担を将来の世代へと先送りする形になりやすいと考えます。それがいつ大きな財政的・経済的な混乱として顕在化するかは予測できませんが、私はまだ年寄りというには若く、この先の人生のほうが長いため、生きている間に現在の前提が大きく変化する局面が訪れるのではないかと身構えています。
為替介入の限界と政権への期待
政府の口先介入や資金投入による為替介入の効果は限定的であり形骸化しつつありますが、新政権の意向から将来的な円高反転を想定した資産設計が重要です。
2026年5月の大型連休前にドル円が160円/ドルを超える急激な円安になった際、三村財務官は『最後通告』という強いメッセージとともに介入を示唆し、実際に為替介入が実施されました。しかし財務省は、この『最後通告』に続いて、昨日の会見でも介入を『究極のメッセージ手段』と言及しています。最後通告の次が究極であり、その次が何になるのかは分かりませんが、強い言葉を重ねるほど市場に対する口先介入の効果は薄れているようにも見えます。ネット上では『アルティメット三村』などと揶揄される始末で、仮に次の介入があっても市場へのサプライズ効果は小さいでしょう。日銀の利上げ判断まで市場が待ってくれるかも不透明です。ただ、高市政権が過度な円安の放置を望まないだろうというのは、私個人が直感的・主観的にそう感じているに過ぎません。それでも何らかの政策的な節目で円高に振れる場面があるのではないかと想定し、その展開に備えています。
投資信託の減額とドル建て資産・暗号資産への分散
円高反転の機会に備えて投資信託の積立額を減額し、ドル建てMMFやステーブルコインなどの資産へ移行することで、利回りを確保しつつ投資待機資金を増やしています。
こうした状況を踏まえ、ここ最近は投信の積立を月25万円から11万円に減額して現金比率を増やしながら、円高になってドル系の資産を増やす機会を狙っています。ドル系でもSBI証券で投資待機資金としてのドル建てMMFと、セルフカストディで長期保管する用のUSDCやUSDTの準備を進めています。暗号資産も元々は総資産の1-2%のつもりでいましたが、ボラティリティの低いステーブルコインの利便性などを考慮し、USDCやUSDTのような価値の安定したステーブルコインをメインに据えることで、暗号資産全体の保有比率を5%から最大15%まで引き上げる方針です。現金比率がかなり上がってきていて円をそのまま持っていても利回りが悪くインフレに負けるので、ドルに分散しながら税引き前で3%ほどの利回りを得ながら投資待機資金として活用したいと考えているところです。世界ではドルから純金への流れもあることは承知していますが、純金も十分に持っていて現金の置き場に困っているわけなので、私にとっては世界の潮流に乗らずともドルで良いだろうと思っています。
相場急変動への対応と「防御の体勢」の継続
主要株式市場や新興IPO企業の荒いボラティリティの中、NISA枠の長期投資に絞り、現金比率を高めて真の買い場を待つ防御重視の投資スタンスを継続します。
ここのところSpaceXやOpenAI、Anthropicといった主要なテクノロジー企業・AIスタートアップを取り巻く市場の動きや、株価指標の乱高下など、やや荒い状況です。オルカンも大きく利益が出ていて年利7%で考えても大幅に上振れているので、NISA枠をコツコツ埋めて長期でもつ前提でしか投資しづらいと思っております。なので現金比率が高く運用効率が悪いというのが一般論となるのでしょうが、昨年の夏に投資を再開して以来、私は一貫して『防御の体勢』をとっています。この慎重な姿勢でも十分なリターンが得られており、市場が「もうダメだ…」となっている本当に攻めるべきタイミング(例えばオルカンがピークから15%以上下落する局面など)や、国の財布が苦しいとなっている時に備えて、まだしばらくは防御していたいと思います。円高をただ待っているのではなく、円高になった時に動けるよう準備を整えています。